長谷川順持の建築生活

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2012年 12月 12日

ミースファンデルローエ賞の作品

ミースファンデルローエ賞はバルセロナ・パビリオンに拠するミース財団によって1988年に設立され、隔年 ごとにEU地域内に建築物を造った、EU加盟国の建築家に対して与えられます。過去の受賞作から珠玉の建築作品群を紹介します。

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まず有名なバルセロナパビリオン。
設計はもちろんミースです。
ミースの生誕100年を記念して、1989年にミース・ファン・デル・ローエ財団他の手により、モンジュイック丘の麓の以前と同じ場所に再建されました。
オリジナルは1929年にバルセロナ万博が開催されるにあたり、スペイン王室がミースにドイツ館の設計を依頼、当初は仮設的な建築物です。万博終了後に解体されてしまったのですが、名建築は蘇るのですね。おそらく、後にも先にもこのようなことは日本では古建築家、遺跡、立原道造のヒヤシンスハウス(これは再建ではないか、、)くらいでしょう、珍しい出来事です。
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これはミース賞のトロフィーです。ミースの愛したH型鋼ですね。建築にはあまりなじみの無い方々に「H型鋼を愛した」という表現は、どのように届くのか心配ですが、建築家にはいろんなフェチが居ますので、スルーして下さい。ちなみに筆者は「天守閣」フェチです。
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これはアルバロシザのイルーマン銀行。ミース賞の記念すべき第一号です。これは実際にポルトガルを旅したときに内部までしっかり観てきましたが、感激しました。模型だと構成が目につきますが、実際は、敷地の高低差にまたがるように計画された、建築物というよりも「土地」のような印象です。集落的な佇まいに魅せられました。
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これはファサードですが、存在感が気迫で、建築に沿って、そのまま、段差のある土地に計画された階段を、つい降りてしまいます。預金に来た人が、銀行に入るよりも、沿って歩きたくなる構えというのも、シニカルです。
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これはドミニクペローのパリの図書館です。ものすごいメンツの建築家で競り合った国際コンペの優勝作品。これはまさに「ヴォイド建築」の見本です。ヴォイドというのは一般の方々にはなじみのない言葉ですが、建築設計をしている者には、異様な魅力に満ちた言葉/概念なのです。ようは「何もない」ところをヴォイドというわけです。何もないところに計画としての本質がある、、、ということは建築にはとても多い訳です。そんな風にみると、本をL型に立てたような物体造形よりも、それ囲まれた何もない場所が、そのL型物体を強く意味づけているように見えてきますね。中庭などは古典的なヴォイドの例です。以降、かなり「ヴォイド」建築が、このミース賞には登場します。
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ラファエル・モネオの国立会議場です。
2棟の関係性がたまらなく知的でスリリングです。
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少しわかりにくい模型ですが、実際は、壁に飾りたいアート、デコパージュのようなコンセプト模型です。女帝ザッハハディドの市街電車駅駐車場
線路の軌道と建築造形が見事に結ばれた造形に感服します。
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ニコラス・グリムショーの駅舎の架構模型。構造フェチの私にはたまらない逸品です。
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下弦材という引っぱり力をになう材料が、途中から上弦材へとスルリと入れ替わりつつホームを大らかに跨いでいます。
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レムコールハースの作品です。ヴォイド建築の王者のような彼は、この作品よりもヴォイド性に富んだ建築を数多く世に出していますが、この模型が言わんとすることそのものが彼のヴォイドにたいする関心を如実に示していますね。オランダ大使館のコンセプトモデルです。
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ルイス・マンシージャ、エミリオ・チュノンの現代美術館。最近作ですが、実際はカラフルな建築です。揺らいだ平面スキームとスケルトンが新鮮です。

このほかにも、ピーターズントーやフォスターなど、本賞受賞作品は、素晴しい建築ばかりですが、この展覧会には、近年ミース賞に加えられた新人賞や、入選作品も多数ありました。これらはまた別の機会にアップします。

ミースがバルセロナパビリオンを創作してから80年の歳月が流れています。おそらく当時は相当な前衛として感じられたミースの作品は、現代の一般の方々が観ても、そう前衛には感じられないほど、モダン表現は市民権を得ました。もちろん、ミースのパビリオンほどのデザインクオリティーのものは、現在もそう多くはありません。ここに紹介した作品群をミースが存命ならばどのように評価するのか、あるいは一世紀後これら建築はどのような意味を世界に投げかけるのでしょうか。

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by junji_hasegawa | 2012-12-12 12:12 | アートとデザイン


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